知床・流氷カヤック体験記|氷に上陸し、ウリクラゲに出会った日

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知床アウトドアガイドセンターの流氷カヤックツアー

知床アウトドアガイドセンターの流氷カヤックツアーに参加した。晴天の13時頃、気温は決して高くないはずだが、ドライスーツを着てしまえば寒さはまったく感じなかった。

小屋の前で、外で着替える

集合場所は岩尾別ユースホステル内の小屋。到着すると、小屋の前に椅子が並んでいて、そこでドライスーツに着替える。屋外での着替えは思っていた以上に無防備な体験で、家族で顔を見合わせて笑ってしまった。寒さは覚悟していたが、着替えそのものが最初の関門になるとは想像していなかった。

ドライスーツを着るのは初めて。着てみて驚いたのは、中に入った空気の抜き方だった。体をぎゅっと縮めて空気を押し出す動作は、これまでどんなウェアでも経験したことのない感覚。首元のゴムも思った以上にしっかりしていて、着せた瞬間、息子は「首がきつい」と顔をしかめた。このまま3時間もつのか、正直少し不安になった。

ツアー基本情報

項目内容
運営会社知床アウトドアガイドセンター
所在地北海道斜里郡斜里町岩尾別(岩尾別ユースホステル内)
開催期間1月上旬〜3月下旬(流氷の状況により変動)
開催回1日2回(8:30〜/13:00〜)
所要時間集合〜解散まで約3時間
料金15,000円/人
料金に含まれるものガイド料、レンタル装備(カヤック・パドル・ライフジャケット・ドライスーツ・専用グローブ)、保険料
送迎ウトロ地区内の宿泊施設・バスターミナルへ送迎あり(要事前相談)
注意事項ツアー中はトイレに行けない

※最新の料金・開催状況は公式サイトで必ず確認してください。

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流氷が多すぎても少なすぎてもできない

流氷カヤックは、流氷が「ちょうどいい量」でなければ催行できない。流氷が多すぎるとカヤックで進めるだけの海面が確保できず、逆に少なすぎればそもそも流氷の景色にならない。私たちが参加できたのは、コンディションが良いタイミングだった。天候・海況に加えてこの「流氷の量」も催行を左右する要素なので、旅程には予備日を用意しておくと安心だ。

写真は当日の朝に北こぶしのバルコニーから幌別橋方面を撮影したもの。

1時間半、流氷の間を漕ぐ

陸で乗り方・降り方、前進・バック・旋回とひと通り教わってから、いよいよ海へ出る。少し進むと、幌別橋が見えてきた。橋の向こうには羅臼岳の白い頂が覗いている。「この橋から先が世界遺産です」とガイドさんが教えてくれる。ウトロの町から知床国立公園へ、自分の腕で漕いで入っていくという事実に、パドルを握る手に少し力が入った気がした。

パドリングの時間は約1時間半。オホーツクの海面に浮かぶ流氷の間を縫うように進んでいく。

流氷は大きさによってカヤックでの扱いがまったく違う。薄くて小さい氷なら、カヤックでそのまま乗り越えて進むことができる。しかし大きな流氷になると、もはや岩のような存在感で、避けるか、上陸するかの二択になる。

大きな流氷にカヤックがぶつかると「ゴツン」という鈍い音と衝撃が伝わってくる。小さな氷とは明らかに違う手応えで、これが「岩」のような存在感だと感じた理由でもある。ただの障害物ではなく、氷を使って進路を変えたり、氷と氷の隙間を狙って通り抜けたりと、遊び道具のような感覚でもあった。

着替えの時にあれだけ気にしていた首元の違和感を、息子はいつの間にか口にしなくなっていた。慣れたのか、次々に現れる流氷に気を取られていたのか。理由はわからないが、気づけばドライスーツのことなど忘れて、夢中でオールを握っていた。

それぞれ違う形の流氷に見入る

知床連山の最高峰、羅臼岳の稜線も綺麗に見えたが、それ以上に印象に残っているのは、流氷そのものの表情の豊かさだった。一つとして同じ形の氷がない、という当たり前のことに、実際に近づいてみて初めて気づいた。

水面から出ている部分の大きさと、氷が海中に沈んでいる部分の厚みが、氷によってまったく違う。見た目は小さいのに水中では大きく広がっている氷もあれば、逆に水上には大きく突き出ているのに水中はほとんどない氷もある。澄んだ水を通してその境目がはっきり見えた瞬間、家族で「ここまで違うんだ」と声が揃った。海面を漕ぎながら、次々に現れる氷の形の違いに、何度も見入ってしまう時間があった。

大きな流氷に上陸

途中、ひときわ大きな流氷を見つけて上陸した。まさに「島」と呼びたくなるサイズの氷だった。

その上を歩いてみると、端の方では何度も足がズボッとはまった。表面には雪が積もっていて、見た目だけでは氷の厚さがまったく分からない。薄い場所を踏み抜いても、ドライスーツを着ているので水に浸かる心配がなく、気にせず楽しめた。

雪に足を取られながら氷の上を歩く感覚、氷の割れ目から覗く海の透明度、家族で手をつないで進んだ慎重な足取り。「流氷ウォーク」という単体のツアーがあるらしいが、今回のカヤックツアーの中で、その要素はすべて体験できたと思う。

ドライスーツで、流氷の海に浮かぶ

氷から少し離れた海で、ドライスーツのまま海面に仰向けに浮かぶ時間もあった。沈む心配がないと分かっていても、流氷が浮かぶ海に体を預けるのは不思議な感覚。空を見上げながら、しばらくぷかぷかと漂っていた。

ウリクラゲを捕まえた

カヤックで漕いでいる最中、透明な体の生き物を見つけて捕まえた。ウリクラゲだった。

網で掬い上げて手のひらに乗せると、透明な体の中に赤みを帯びた小さな器官がいくつか透けて見える。体の中央には虹色・青紫色の光の帯が一本まっすぐ走っていて、角度を変えるたびに色が移り変わる。発光しているというより、透明な体の中にある繊毛の列(クシ板)が太陽の光を反射している。まるで小さなプリズムを手のひらに乗せているようだった。

息子の生物知識にガイドさんも驚く

このウリクラゲのほかにも、カブトクラゲなど複数の種類を息子が言い当てていた。ガイドさんも「詳しいね、将来は生物学者だ」と驚いていたほど。魚だけでなくクラゲにも詳しいとは、こちらも初耳だった。

宿泊先までの送迎あり

宿泊先のホテルまで送迎してくれるので、車を運転できない・レンタカーを用意していない場合でも参加しやすい。

服装・持ち物

ドライスーツの下に着たのは、ヒートテックの長袖・タイツ、厚手の靴下、ニット帽。カヤックを漕いでいると体が温まり、むしろ暑いくらいだった。ドライスーツの防寒性能の高さを実感した瞬間でもある。

カメラやスマホは、水しぶきや氷との接触で濡れる可能性があるため、防水ケースがあると安心。

参加条件は事業者によって幅がある

流氷カヤック・流氷ウォークとも、年齢・身長・体重の条件は事業者ごとに異なる。小さな子供連れの場合の対応も事業者によって差があるので、参加を検討する場合は、必ず予約時に各事業者へ直接確認してほしい。

宿泊は北こぶし知床

漕いでいる途中、ふと顔を上げると、ウトロの町並みとその先に今夜泊まる宿の建物が小さく見えた。海の上からいつもと違う角度で自分たちの宿を眺めるというのも、この日ならではの景色だった。

このツアーの日は北こぶし知床に宿泊した。流氷カヤックで冷えた体を、宿のサウナ・温泉で温め直せるのはありがたかった。ドライスーツを着ていても指先や顔は外気にさらされるので、帰った後に温泉に直行できる距離感は大きい。

北こぶし知床にはKAKUUNA・UNEUNAという性格の異なる2つのサウナ棟があり、ウトロ港を眺めながら整えられる。流氷アクティビティの後の一杯は格別だった。

▼ 北こぶし知床の空室・料金を確認する

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まとめ:一生に一度レベルの体験

流氷の上に自分の足で立ち、流氷の海に浮かび、光を受けて虹色に輝くウリクラゲに出会う。知床アウトドアガイドセンターの流氷カヤックツアーは、想像していた以上に盛りだくさんの体験だった。参加条件は事業者によって差があるので、検討している方は必ず事前に公式サイトで確認してから予約してほしい。

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この記事を書いた人

harupapa

世界中の島を旅した夫婦が、6歳の息子ハルと共に
家族で59回の旅を重ねる旅ブロガー。

▼旅の実績
・宮古島10回・軽井沢9回・山中湖9回リピート
・地中海6島制覇(カプリ・マルタ・ランペドゥーザ・マヨルカ・メノルカ・イビサ)
・国家資格保有(柔道整復師)

「世界の島を見てきた目で、日本の島を語る」を
コンセプトに、6歳の息子と巡る冒険育児の記録を発信中。

Instagram: @harupapa_59trips

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