【子連れ参拝記】五島列島の教会めぐり——世界遺産・頭ヶ島天主堂と上五島の教会たち

[PR] 本記事には広告・プロモーションが含まれます。

目次

日常の風景に教会が溶け込む島

上五島を車で走ると、集落の角を曲がるたびに教会の尖塔が見える。コンビニも信号も市街地以外はほとんどないのに、教会だけは驚くほど多い。今回はレンタカーで6つの教会・神社を回った。

✳︎ビーチと合わせて回るなら五島列島ビーチ完全ガイドも参考に。

場所見どころ世界遺産
頭ヶ島天主堂石造り・花の御堂○(構成資産)
井持浦教会日本初のルルド(1897年)×
水ノ浦教会白亜の木造教会×
大曽教会鉄川与助設計のレンガ造り×
高井旅教会赤い屋根と海のコントラスト×
中ノ浦教会水鏡の教会(外観のみ)×
(番外編)奈良尾神社国天然記念物のあこう樹×

世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産に入っているのは、このうち頭ヶ島天主堂(頭ヶ島の集落)のみ。他は世界遺産ではないが、同じ潜伏キリシタンの歴史を背負った教会で、どれも実際に訪れる価値があった。

海と教会が隣り合わせにある景色は、独身時代に地中海の島々(カプリ・マヨルカ・メノルカ等)を旅した記憶と重なった。教会が観光地としてではなく、生活の中に自然にある感じがよく似ている。


1. 頭ヶ島天主堂——石造りの「花の御堂」

世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産「頭ヶ島の集落」に含まれる、現存する唯一の建物がこの天主堂。西日本では唯一、全国的にも珍しい切石積みの教会堂で、1910年着工、1919年(大正8年)に完成した。設計・施工は五島出身の教会建築家・鉄川与助。国の重要文化財にも指定されている。

堂内は花柄の装飾が美しいことから「花の御堂」とも呼ばれる。

見学の注意点:頭ヶ島天主堂は個人・団体を問わず事前連絡が必要(長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産インフォメーションセンター 095-823-7650)。当日ふらっと行っても中には入れない可能性があるため、訪問日は必ず事前に電話予約すること。

外の白い建物(案内・受付施設)と、少し奥にある石造りの本堂は別物なので、写真を撮る際は両方確認したい。


2. 井持浦教会(ルルド)——日本初のルルドの泉

1897年(明治30年)創建、五島で最初のレンガ建築による教会堂。境内のルルド(洞窟の聖母マリア像)は、1895年に当時の五島教区の神父が提唱し、2年後の1897年に完成した、日本で最初のルルドとされる。フランス・ルルドの岩石を持ち帰り築造され、内部には聖母マリア像が安置されている。井戸には本場ルルドの聖泉の水が混ぜられて祝別されており、以来「第2のルルド霊泉地」として全国から信徒が訪れる。

現在の聖堂は1987年(昭和62年)の改装後のもの。入口には「いらっしゃいませ」の文字が刻まれた石碑と白いキリスト像が立ち、緑豊かな境内は静かで落ち着いた雰囲気だった。


3. 水ノ浦教会——白亜の木造教会

1880年(明治13年)に宣教師の指導で最初の教会が建設され、老朽化と潮風による損傷を経て、1938年(昭和13年)に教会建築家・鉄川与助によって現在の木造教会に建て替えられた。ロマネスク・ゴシック・和風建築が混ざった白亜の木造教会で、構造は長崎市の大浦天主堂と同型といわれる。

近くには明治初期の弾圧を物語る牢屋跡(現在は民家)や、五島出身の聖人「聖ヨハネ五島」の聖像も建立されている。丘の上に立つ白い教会と青い海のコントラストが印象的だった。


4. 大曽教会——鉄川与助のレンガ建築

外海地方(出津・黒崎・池島など)から移住してきたキリシタンの子孫が暮らす集落にある教会。1879年(明治12年)に木造教会が建てられ、現在のレンガ造りの教会堂は1916年(大正5年)、五島出身の教会建築家・鉄川与助の設計施工による。レンガの凹凸や色の違いを用いた外壁装飾、内部は三廊式でリブヴォールト天井を持つ。

港を見下ろす高台に建っており、青方港からレンタカーで数分の距離。旧木造教会堂は解体後、若松島の土井ノ浦教会に移築され今も現存している。


5. 高井旅教会——赤い屋根と白い砂浜

この地の信徒は、江戸幕府の迫害が厳しかった1850年頃、長崎外海の樫山地区から3家族が禁教を逃れて五島灘を小舟で渡り、隠れ住んで信仰を守ったと伝わる。1938年(昭和13年)に隠れキリシタンから帰依、1961年(昭和36年)6月4日に聖堂が建立された。

教会の目の前には上五島有数の海水浴場・高井旅海水浴場が広がる。長崎から奈良尾港へ向かうフェリーの甲板からは、赤い屋根の教会が緑の山・白い砂浜・青い海に照り映えて見えるという。実際に高台からその海を見下ろすと、教会と海水浴場が一つの景色として溶け合っていた。


6. 中ノ浦教会——水鏡に映る教会(外観のみ)

1925年(大正14年)建立の白い木造教会(設計施工:鉄川与助)で、「水鏡の教会」の別名で知られる。小さな入り江に面して建ち、潮が満ちて風のない日には、水面に教会の姿がくっきりと映って二重に見える。特徴的な尖塔は1966年(昭和41年)に増築されたもの。

今回は道路沿いの案内標識のみの撮影となったが、次回訪問時は満潮・無風のタイミングを狙って水鏡の写真を撮りたい。


番外編:奈良尾神社のあこう樹——国指定天然記念物

教会だけでなく、奈良尾港近くの奈良尾神社にも立ち寄った。境内には樹齢650〜670年、高さ25m、幹周り12〜13.9mという日本一の大きさを誇るあこうの巨木があり、1961年4月27日に国の天然記念物に指定されている。根が二股に分かれ、参道をまたぐように立つ姿はまるで天然の鳥居のようで、この下をくぐると長生きできるといわれる。

奈良尾の集落は慶長年間(1596〜1615年)に紀州(現・和歌山県広川町)の漁師たちが移り住んで栄えた町で、あこう樹の前で豊漁と安全を祈願してきた歴史がある。教会とは違う、島の生活史を感じるスポットだった。


子連れ参拝のマナー(共通)

上五島の教会は現役の礼拝の場であり、観光施設ではない。どの教会も共通して以下を守りたい。

  • ミサ・冠婚葬祭中は見学不可(事前に予定を確認)
  • 教会内での撮影は原則禁止(外観・敷地内は基本的に問題なし)
  • 帽子は入堂前に脱ぐ、服装は肌の露出を避ける
  • 飲食・喫煙は境内で控える
  • 頭ヶ島天主堂は事前連絡必須(無予約での訪問は入堂不可の可能性)

子供連れの場合、堂内での飲食・大声は特に注意。今回は外観中心の見学だったが、静かに見て回れる年齢かどうかで滞在時間を調整するとよい。


まとめ

半日〜1日かけて上五島の教会を回ると、どれも観光地然としておらず、集落の生活の一部として建っている。頭ヶ島天主堂のような世界遺産の石造り教会もあれば、水ノ浦や中ノ浦のように海や入り江と一体化した木造教会もある。海と信仰の建物が隣り合う景色は、独身時代に見た地中海の島々の記憶を思い出させるものだった。

関連記事:五島列島シリーズ

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

harupapa

世界中の島を旅した夫婦が、6歳の息子ハルと共に
家族で59回の旅を重ねる旅ブロガー。

▼旅の実績
・宮古島10回・軽井沢9回・山中湖9回リピート
・地中海6島制覇(カプリ・マルタ・ランペドゥーザ・マヨルカ・メノルカ・イビサ)
・国家資格保有(柔道整復師)

「世界の島を見てきた目で、日本の島を語る」を
コンセプトに、6歳の息子と巡る冒険育児の記録を発信中。

Instagram: @harupapa_59trips

コメント

コメントする

目次